田中内科クリニック|福岡市中央区大宮の内科、呼吸器内科

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健診のこれって何?

白血球(WBC)

白血球って言葉は結構聞いた事がある方も多いと思います。
では、白血球とは何でしょう?
例えるなら、あなたを外敵(細菌やウイルスなど)から守る兵隊のようなものです。(自衛隊員の方がわかりやすいかもしれません)
外敵の侵入を許すと、すばやく兵隊は動員、徴兵されます。
そして外敵との死闘を演じるのです。その結果、外敵は殲滅され、兵隊にも多くの犠牲が生じます。
その様子は膿として見ることができます。(膿は死滅した細菌や白血球で成り立っています)

検査結果で白血球が増加している場合、多くはこの死闘が身体のどこかで行われていることを示唆しています。
例えば、喉が痛い、黄色い痰がでる、傷口が膿んでるなどです。
時には内臓で死闘が行われてる場合もあります。
虫垂炎、胆嚢炎、膵炎、髄膜炎などなど…。
ですから、白血球が増加している場合、これらの死闘を検索し、治療する必要があります。(多くは風邪のことが多いですが)

外敵以外にも白血球が増加する場合があります。
何の理由もなく兵隊が勝手に徴兵され増え続けます。
あたかも身体の内部でクーデターが起きたように。
この病態で多いのは皆さまもよくご存じの「白血病」という病気です。白血病は白血球のもととなる細胞ががん化し、勝手に兵隊を増やしてしまいます。
困った事に、この兵隊は不良兵隊で本来の役目も果たさず、反逆を繰り返し、あなたの身体を蝕みます。ですからこれもまた、状態に合った診断と治療が必要です。

もちろんその他にも白血球が増える病気はたくさんあります。
とてもここで説明することはできませんが、検査結果で白血球が増えてる場合は、念のためかかりつけ医で再検精査してください。
白血球の増加が軽度(10,000前後とか)で何の症状もなければ様子をみられますが、何らかの症状がでた場合はやはり受診することをご検討ください。

また、逆に白血球が低下する場合もあります。
何らかのお薬を服用している人は、その副作用で低下する場合もあります。また、白血病でも低下する場合があります。もちろんその他にも原因はありますが、やはり低下している場合も受診してください。

赤血球(RBC)、血色素(Hb)

皆さまの血は何色ですか?濃さの違いがあれ皆さま「赤」だと思います。
それこそが赤血球なんです。
赤血球は赤色をしており、その赤色が血色素です。
その役目は主に「酸素」の宅配便です。
皆さまは酸素がないと生きられませんが、酸素があっても、それが身体のすみずみまで行き渡らないとやはり生きられません。
その重要な役割をしているのが赤血球であり、血色素なのです。

では、その赤血球の数が減ったり、血色素がうすくなるとどうなるでしょう。
酸素を吸っても、宅配便は運ぶ量に限りがありますので、配達が遅延し、各地で酸欠を起こしてしまいます。
この状態が俗に言う「貧血」です。
検査結果で赤血球が減少したり、血色素が低ければ、貧血のチェックが必要です。
かかりつけ医を受診し、その原因の精査をしてください。

また、赤血球が増加する場合はどうでしょう。
酸素がたくさん運べてよさそうに思われます。
確かにマラソンランナーが高地トレーニングなどすれば赤血球が増加し、いざ平地でのマラソンで酸素がたくさん運べて、有利にレースができるでしょう。
しかし、そうでない場合に増加するのはやはり病的です。
検査をご検討ください。

血小板(Plt)

血小板とは何でしょう。血の小さい板?
実際に顕微鏡で血をみてみると、小さい板切れのようなものがたくさんみられます。それが血小板です。

皆さまが手を切ったとき、血が流れます。
でも流れっぱなしになるでしょうか?(大怪我の場合はそういうこともあります)
大体数分で止まるでしょう。それを行っているのが血小板なのです。例えるなら、土嚢のような役割ですね。
血管が傷つき、穴があくとそこから血が流出します。
その穴を急いで防ぐために、土嚢である血小板がいくつも重なり、一時的に穴をふさいで血を止めるのです。
その後に穴の修復がはじまり、もとにもどるのです。

ではその血小板が減少したら?
洪水の時の土嚢がなくなります。
穴をふさぐことができません。
すなわち、流れる血が止まらなくなります。
検査結果で血小板が減少していたら、やはり精査する必要があります。

逆に増加したら?
血小板が増えすぎると、今度は細い血管でつまったりしますのでやはり精査、治療が必要です。

総コレステロール(TCho)

コレステロールの値、結構この値で一喜一憂される方も多いと思います。
コレステロールは必要なものですが、多すぎると動脈硬化がすすみます。
動脈硬化がすすみますと、心筋梗塞や脳卒中を起こしやすくなります。

総コレステロールが300になると、正常な人よりも心筋梗塞や脳卒中を起こしやすいとされてます。
総コレステロールが200未満だと発生率に有意差はありません。
一般に治療の対象は、他の危険因子がない方(危険因子とは、加齢(男45以上、女55以上)、高血圧、糖尿病、喫煙、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)の家族歴、低HDLコレステロール血症(40未満)をさします。)は、総コレステロール240以上(LDLコレステロール(悪玉のコレステロールです)160以上)とされております。

一般の健康診断ではLDLコレステロールまででませんので総コレステロールで判断してください。
治療は食事、運動療法が主です。それでも改善がみられない場合はお薬を使います。
ただし総コレステロールが高くてもHDLコレステロール(別項目参照)が高ければ全体にLDLコレステロールが低くなりますから、リスクが減ります。
上記の危険因子がある方はさらにきびしくなります。
かかりつけ医と相談のもと、治療してください。

HDLコレステロール(HDL)

総コレステロールに含まれるのに、このHDLコレステロールがあります。
これは俗に言う善玉コレステロールと呼ばれるものです。
血管にこびりついた悪玉コレステロールをはぎとっていく作用があります。

総コレステロールが正常範囲でもHDLコレステロールが低値の方は要注意です。
特に40未満の方は、それだけで危険因子となりますので、注意してください。
では、どうしたら善玉コレステロールがあがるのでしょうか?
正直かなりきびしいです。
悪玉コレステロールは摂取する動物性の脂肪を制限すると低下しますが、HDLコレステロールはなかなかあがりません。
青魚などの脂質を極力摂取し、適度な運動と、規則正しい生活に努めなければいけません。

やはりHDLコレステロールを上げることより、悪玉が増えないようにする方が近道でしょう。
動物性の脂肪(肉の脂身や、牛乳、卵(魚卵も)、内臓(ウニなど))は極力控えてください。
また、カロリーを摂り過ぎても悪玉コレステロールは増えます。
アルコールなども控えめにしてください。

中性脂肪(TG)

中性脂肪も結構気にしている方も多いでしょう。
中性脂肪って何でしょう?
皆さまが食べた脂肪分は小腸で吸収されます。それがほとんど最初は中性脂肪の形で存在します。
それが各組織に供給され、肝臓にとりこまれます。そして、必要に応じて肝臓から産出され、また組織に運ばれます。その多くはエネルギー源として、また、非常時の蓄えとして使われます。

では、中性脂肪が多いと何がいけないのでしょうか?
当然皮下脂肪の原因であり、内臓脂肪のもとになりますので、余分な中性脂肪は肥満の原因となります。
また、悪玉コレステロールの増加にもつながり、その結果動脈硬化を促進させることになります。
ですから、中性脂肪も高いひとは注意が必要です。

ただし中性脂肪は食べたものによってかなり左右されます。
その影響をなくすには、12~16時間の絶食のあとに採血する必要があります。
もし、健康診断にて中性脂肪が高かったひとは、絶食した後に再検してみてください。
それでも高い人は、やはり食事と運動に気をつけましょう。
動物性脂肪はもちろんですが、カロリー摂取過多でも中性脂肪はあがります。
自分の必要なカロリーを考え、状態に合わせた食事を摂ってください。

GOT(AST)、GPT(ALT)

比較的よく耳にするのが、このGOT、GPTだと思います。
AST、ALTは国際的に統一された名称で、同じものです。

では、GOT、GPTって何でしょう?
細胞、特に肝細胞に多く含む酵素です。
ですから、肝細胞が何らかの障害を受けると血液中に漏出し、検査で高値を示します。

では肝細胞が障害を受ける原因は何でしょう?
肝炎ウイルス、薬剤、ストレス、アルコール、脂肪肝、がんなどいろいろです。

GOT、GPTが高い場合はやはり再検してください。
特に以前は正常だった人は精査してください。
肝臓以外でもGOT、GPTがあがる場合があります。
心筋梗塞や、ある種の貧血など。
どちらにしても医師の診断を受けてください。

γGT(γGTP)

γGTは胆道系酵素の一つです。
胆道系とは、肝臓で作られた胆汁が胆のうを通って十二指腸にでてくるまでの道のりです。
その道のりに障害があり、胆汁がうっ滞するような状況になるときに高値を示します。
例えば、胆石が道をふさぐようになった場合や、胆道がんなどによって流れがせきとめられたりする場合です。

ただ、それ以外でもアルコールや薬剤でこの酵素が誘導され、高値を示します。
多くの方はアルコール性が多いのではないでしょうか。
飲酒状態をよく反映いたしますので、前の日に飲んだだけでも影響いたします。
前述のGOT、GPTとともにあがっている人は、アルコール性肝障害や脂肪肝になっていることが多いです。

そういう方は、十分に気をつけて、飲酒を控えるようにしてください。
ちなみに7~10日禁酒すると、γGTPは低下するといわれてます。
だからといって、健診前にだけ飲まないようにするのは止めましょう。

血糖、HbA1c

血糖もHbA1cもともに糖尿病の有無を見る検査です。
糖尿病に関しては、健康アドバイスをご参考にされてください。
血糖とHbA1cの違いはなんでしょうか。

血糖は採血した時の血中の糖の値です。
ですから採血前にちょっとジュースなど飲むとすぐにあがります。
それに比べHbA1cは2カ月ぐらい前の血糖の平均値を反映いたします。
ですから採血時の食事の影響はありませんが、あくまで2カ月前の状態です。

健診によっては、血糖だけであったり、HbA1cだけだったりしますので、よく考慮してください。
絶食時の採血で血糖が高かったり、HbA1cが高い場合は糖尿病の疑いがあります。
かかりつけ医と相談されてください。

また、糖尿病の方でもHbA1cが高い人はコントロール不良です。
食事、運動を見直してください。
一般にHbA1cが6.5以上だと、糖尿病の合併症率(網膜症、腎症、神経症など)が有意に増加してきます。6.5以下になるように努力してください。

尿酸(UA)

尿酸については、健康アドバイスの尿酸の項目をご参考にされてください。
一般に7mg/dlを超える人は要注意です。
痛風などある方は、7mg/dlを超えないように治療してください。
痛風がない方は、8mg/dl以上で治療の対象です。
特に危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病など)がある方は治療をご検討ください。
尿酸の原因はプリン体です。プリン体の多い食事は特に控えてください。

プリン体の多い食品
レバー、干物、大正エビ、カツオブシ、ニボシ、大豆、するめいかなど

これらの食品を控えても1日の摂取カロリーが多いと尿酸が増加します。
カロリー摂取に気を付けてください。
もちろんアルコールも尿酸値をあげます。特にビールの飲みすぎには注意してください。
また、プリン体は水に溶けやすい性質があります。
料理は煮物を主体とし、その汁は捨てるようにしてください。

検尿

検尿では尿糖、尿蛋白を調べます。検診によっては尿潜血まで調べます。
尿糖は糖尿病の有無を見るためです。詳細は健康アドバイスの糖尿病の項目をご参考にされてください。

皆さまの尿はどこで作られているかご存じですか?
それは腎臓という臓器です。腎臓では血液をろ過し尿を作っています。
作られた尿は尿管という管を通って膀胱に溜まります。
そして尿道を通って排出されます。
この過程で異常があると尿蛋白や尿潜血が陽性にでます。

尿蛋白は主に腎臓の異常の指標になります。
尿にでない血液中の蛋白が腎臓の異常で尿中に排泄されるようになります。
尿蛋白が陽性の方は精査が必要です。
ただ、少量の尿蛋白は風邪をひいたり、疲れがたまったり、あるいは立ち上がったりするだけでもでることがあります。
体調のよい時に再検してみてください。

また、腎臓以外でも膀胱や尿道の炎症でもでることがあります。
排尿時の違和感などある方は精査してください。
尿潜血がある方は、原則的には精査が必要です。
特に以前なかったのに急に陽性にでるようになった方は精査してください。
膀胱がんなどないか調べる必要があります。
また、排尿時の違和感や痛みや残尿感などがある方は膀胱炎を起こしている可能性があります。この場合は治療を受けてください。
少量の尿潜血は正常でもでる方がおられますが、精査したことがなければきちんと精査する必要があります。
自分で判断せず、かかりつけ医と相談されてください。